私は現在、Ledger Nano Gen5を使ってビットコインを自己保管している。
長期間使うことを考えたとき、気になることの一つが「もし将来Ledgerという会社がなくなったらどうなるのか」という問題である。
Ledgerが倒産する。Ledger Walletアプリが使えなくなる。
公式サイトがなくなる。サポートやアップデートが終了する。
そんなことが起きた場合、「Ledgerに入れていたビットコインまで取り出せなくなるのではないか」と思うかもしれない。
私も長期間ビットコインを自己保管するのであれば、この部分は理解しておきたいと思った。
そこで今回は、
- Ledgerが倒産したらビットコインは消えるのか
- Ledgerデバイスの中にビットコインが入っているのか
- 24単語のリカバリーフレーズがあれば何ができるのか
- Ledger Walletアプリが使えなくなったらどうなるのか
- Ledger以外のウォレットへ復元できるのか
- Recovery Keyだけを持っていれば十分なのか
を初心者の私なりに調べてみた。
- 1 結論:Ledgerが倒産してもビットコインそのものが消えるわけではない
- 2 そもそもビットコインはLedgerデバイスの中に入っていない
- 3 取引所の倒産とは意味が違う
- 4 一番重要になるのが24単語のリカバリーフレーズ
- 5 BIP39とは何なのか
- 6 Ledger以外のウォレットでも復元できる
- 7 パスフレーズを使っている場合は24単語だけでは足りない
- 8 Ledger Walletアプリが使えなくなったらどうなる?
- 9 リカバリーフレーズをソフトウェアウォレットへ入力するのは今やることではない
- 10 Recovery Keyだけを持っていればいいのか?
- 11 Ledgerが倒産しても何も困らないわけではない
- 12 もしLedgerが本当に倒産したら私はどうするか
- 13 私が調べた結論:もしLedgerが倒産しても他社製品でウォレットを復元できる
結論:Ledgerが倒産してもビットコインそのものが消えるわけではない
最初に結論を書く。
Ledgerという会社がなくなったからといって、Ledgerで自己保管していたビットコインそのものが消えるわけではない。
Ledger公式も、会社が存在しなくなった場合でも暗号資産や秘密鍵そのものが消えるわけではなく、24単語のリカバリーフレーズを使って対応するウォレットからアクセスを復元できると説明している。
なぜなら、ビットコインはLedgerという会社に預けているわけではないからだ。
Ledgerデバイスは、自分のビットコインそのものを内部に保存している機械ではない。
暗号資産そのものはブロックチェーン上に存在し、Ledgerデバイスはそれを動かすために必要な秘密鍵を保護する役割を持つ。
つまり、「Ledgerが倒産すること」と「自分のビットコインがなくなること」は同じではない。
そもそもビットコインはLedgerデバイスの中に入っていない
私はハードウェアウォレットを使い始める前、「ビットコインをLedgerデバイスへ移す」という言葉から、USBメモリへファイルを移すように、ビットコインそのものがLedgerデバイスの中へ移動するような感覚を持っていた。
しかし実際は違う。
ビットコインそのものは、Ledger Nano Gen5の中に保存されているわけではない。
ビットコインの取引記録はブロックチェーン上に記録され、ウォレットはそこから自分が使える残高を計算する。
Ledgerデバイスが守っている重要なものは、そのビットコインを動かすために必要な秘密鍵である。
そのため、Ledgerという会社がなくなったとしても、ブロックチェーン上から自分のビットコインが削除されるわけではない。
Ledgerの会社が私のBTC残高を保管しているわけではないからだ。
取引所の倒産とは意味が違う
ここは初心者にはかなり重要だと思う。
例えば、一般的な中央集権型暗号資産取引所へビットコインを預けている場合、基本的には取引所側が秘密鍵を管理する。
利用者は「自分のアカウントに1BTCある」という表示を見ることはできても、その1BTCを直接動かす秘密鍵を自分自身で管理しているわけではない。
一方、Ledgerを使った通常の自己保管では、秘密鍵は自分のLedgerデバイスによって管理される。
Ledgerという会社が「あなたの口座には0.1BTCあります」という台帳を社内で管理しているわけではない。
だから、「取引所が倒産すること」と「ハードウェアウォレットメーカーが倒産すること」は、同じように考えない方がいい。
もちろんLedgerがなくなれば、公式アプリ、サポート、製品販売、ファームウェア更新などに影響が出る可能性はある。
しかし、「会社がなくなること」と「自分が秘密鍵へのアクセスを失うこと」は別の問題である。
一番重要になるのが24単語のリカバリーフレーズ
Ledgerがなくなった場合に重要になるのが、24単語のリカバリーフレーズである。
Ledgerデバイスを新しくセットアップすると、通常は24個の英単語からなるリカバリーフレーズが生成される。
これはLedgerアカウントのパスワードではない。
Ledgerで使われる24単語のリカバリーフレーズは、BIP39という規格に基づいている。
つまり、リカバリーフレーズはLedgerという会社だけで通用する専用パスワードではない。
Ledgerがなくなったとしても、リカバリーフレーズそのものまで無効になるわけではない。
BIP39とは何なのか
ここで「BIP39」という聞き慣れない言葉が出てくる。
私も最初は「また難しい暗号資産用語が出てきた」と思った。
しかし、この話を理解するだけなら難しく考えなくてもいい。
BIP39は簡単に言えば、ウォレットを復元するための単語列を作る共通規格である。
もう少し詳しく言うと、ウォレットをバックアップするための単語列を作り、その単語列からウォレットの元になるシードを再生成するための共通規格である。
そのシードから実際のウォレットを作る段階では、BIP32などの別の仕組みも使われる。
そのため、BIP39だけですべての暗号資産ウォレットの仕組みが完全に統一されているわけではない。
ただし、Ledger独自の24単語ではなく広く使われている標準規格に基づいているため、対応する別のウォレットから復元できる選択肢がある。
Ledger以外のウォレットでも復元できる
Ledger公式は、Ledgerがなくなった場合でも、24単語のリカバリーフレーズを使って対応する別のウォレットから資産へのアクセスを復元できると説明している。
つまり、LedgerのウォレットはLedgerという1社だけに完全に閉じ込められているわけではない。
例えば将来、
- Ledgerが事業を終了する
- 現在のLedgerデバイスも故障する
- 新しいLedger製品も購入できない
という状況になったとしても、
正しく保管していたリカバリーフレーズがあり、そのウォレットを正しく復元できる対応環境があれば、Ledger以外の方法から資産へのアクセスを取り戻せる可能性がある。
ただし、「リカバリーフレーズさえあれば、どんなウォレットでも完全に同じように復元できる」という意味ではない。
ウォレットによって、
- BIP39への対応
- 対応している暗号資産
- アドレスやアカウントの生成方法
- 導出パス
- アドレス形式
- パスフレーズへの対応
などを確認する必要がある場合がある。
そのため、正確には、「Ledgerで使われるリカバリーフレーズ24単語は標準規格に基づいており、対応する別のウォレットで復元する選択肢がある」と考えた方がいい。
パスフレーズを使っている場合は24単語だけでは足りない
さらに注意したいのが、Ledgerの「パスフレーズ」機能を利用している場合である。
Ledgerでは24単語とは別に、一般に「25番目の単語」と呼ばれるパスフレーズを設定し、通常とは別のアカウントを作ることができる。
このパスフレーズを使って作ったアカウントは、24単語のリカバリーフレーズだけでは復元できない。
同じ24単語に加えて、設定したパスフレーズも正確に入力する必要がある。
そのため、「24単語さえ残っていれば、すべてのLedger利用者が必ず全資産を復元できる」とまで言うのは正確ではない。
パスフレーズ付きのアカウントを使っている場合には、そのパスフレーズも重要な復元情報になる。
Ledger Walletアプリが使えなくなったらどうなる?
会社の倒産に伴って「Ledger Walletアプリが使えなくなったらどうなるのか」という疑問もある。
私は現在Nano Gen5をLedger Walletアプリと組み合わせて使っている。
しかし、LedgerデバイスはLedger Walletだけとしか通信できない仕組みではない。
Ledgerデバイスを互換性のある第三者製ウォレットアプリと接続して利用する方法がある。
例えばビットコインでは、Electrumなどの対応ウォレットとLedgerデバイスを組み合わせて利用できる。
この場合、秘密鍵そのものを第三者ウォレットへ渡す必要はなく、秘密鍵をLedgerデバイス内に残したまま利用できる。
つまり、Ledgerデバイスが正常に動いているなら、Ledger Wallet以外の対応ウォレットを利用できる可能性がある。
一方で、
- Ledger Walletが使えない
- Ledgerデバイスも故障した
- 新しいLedgerデバイスも入手できない
という状況になれば、リカバリーフレーズを使って対応する別のウォレットへ復元するという方法を検討することになる。
この2つは大きく違う。
- Ledger本体が動く
→ 第三者ウォレットとLedgerデバイスを組み合わせる - Ledger本体も使えない
→ リカバリーフレーズから別の対応ウォレットへ復元する
という考え方である。
ただし、利用する暗号資産や第三者ウォレット側の対応状況によって利用できる環境は異なる。
そのため、「Ledger Walletが終了しても必ず今まで通り何の問題もなく使える」とまでは考えない方がいい。
リカバリーフレーズをソフトウェアウォレットへ入力するのは今やることではない
「Ledgerがなくなってもリカバリーフレーズを他のウォレットへ入力すればいい」と聞くと、「それなら今試しにスマホやパソコンのウォレットへ24単語を入力してみよう」と思うかもしれない。
これは避けた方がいい。
24単語のリカバリーフレーズは、そのウォレット全体へアクセスするためのマスターキーのようなもので、極めて重要な秘密情報である。
せっかくハードウェアウォレットで秘密情報をオフライン管理しているのに、安易にオンライン環境へリカバリーフレーズを入力すれば、ハードウェアウォレットを利用するメリットの一部を失うことになる。
そのため、他社ウォレットへリカバリーフレーズを直接入力する方法は、Ledgerが本当に利用できなくなった場合などの緊急時の復旧手段として私は理解している。
実際に復元する必要が生じた場合も、可能であれば信頼できるBIP39対応のハードウェアウォレットなど、安全性を考えた環境を選びたい。
Recovery Keyだけを持っていればいいのか?
私は現在、Nano Gen5に付属していたLedger Recovery Keyも設定している。
Recovery Keyは、24単語のリカバリーフレーズの暗号化されたバックアップをカード内部のSecure Elementへ保存する、PIN保護されたNFC対応の物理カードである。
では、24単語のリカバリーフレーズを捨ててRecovery Keyだけ持っていればいいのか?
私はそうは考えていない。
Ledgerも「Recovery Keyはリカバリーフレーズを置き換えるものではなく補完するものだ」と説明している。
Recovery Keyを使って復元するには、Recovery Keyに対応するNFC対応のLedgerタッチスクリーンデバイスが必要になる。
一方、紙などに記録したリカバリーフレーズ24単語があれば、Ledger以外の対応ウォレットへ復元する選択肢も残る。
つまり、Ledgerという会社への依存をできるだけ減らすという意味では、リカバリーフレーズを自分で安全に管理することには大きな意味がある。
私はRecovery Keyを使っていても、24単語のリカバリーフレーズを重要なバックアップとして管理している。
Ledgerが倒産しても何も困らないわけではない
ここまで読むと、「それならLedgerが倒産しても何も問題ない」と思うかもしれない。
しかし、私はそこまで単純には考えていない。
Ledgerという会社がなくなれば、例えば
- 新しいLedgerデバイスを購入できなくなる
- 公式サポートを受けられなくなる
- Ledger Walletアプリや関連サービスの提供に影響が出る可能性がある
- ファームウェア更新を受けられなくなる可能性がある
- Ledger独自のサービスが利用できなくなる可能性がある
- Recovery Keyを使った復元環境にも将来的に影響が出る可能性がある
など、実用上の問題は考えられる。
だから、「LedgerがなくなってもBTCは消えない」と「Ledgerがなくなっても何一つ不便にならない」は全く違う。
重要なのは、会社がなくなったとしても自分の資産へアクセスするための手段をLedgerだけに完全に依存しているわけではないという点である。
もしLedgerが本当に倒産したら私はどうするか
実際に将来Ledgerが事業を終了した場合、私はリカバリーフレーズを適当なウォレットへいきなり入力することはしないと思う。
まず、以下の事項を一つずつ確認する。
- 現在のNano Gen5が正常に動くのか
- Ledger Walletが利用できるのか
- 現在のLedgerデバイスと互換性のある第三者ウォレットがあるのか
- 必要なBitcoinアプリなどがLedgerデバイス上で利用できる状態なのか
- 安全に利用できる別のハードウェアウォレットがあるのか
- 自分のビットコインを新しいウォレットへ移す必要があるのか
Ledgerデバイスが正常に動き、対応する環境が残っているのであれば、互換性のある第三者ウォレットへ接続して、秘密鍵をデバイス内に残したまま利用できる可能性がある。
それでも利用できなくなった場合に、24単語から別の対応ウォレットへ復元する方法を検討する。
パスフレーズを利用している場合には、そのパスフレーズも必要になる。
私にとってリカバリーフレーズは、
「Ledgerデバイスを失ったときのバックアップ」であると同時に、「Ledgerという会社そのものに完全依存しなくて済むための重要な手段」でもある。
私が調べた結論:もしLedgerが倒産しても他社製品でウォレットを復元できる
Ledgerが倒産したとしても、それだけを理由に自分のビットコインが消えるわけではない。
ビットコインはLedger社のデータベースに保存されているのではなく、ブロックチェーン上に存在する。
Ledgerデバイスが保護しているのは、その資産を動かすために必要な秘密鍵である。
そして、Ledgerで使われるリカバリーフレーズ24単語はBIP39という標準規格に基づいている。
そのため、Ledgerがなくなった場合でも、対応するウォレットを使って資産へのアクセスを復元できる選択肢が残されている。
Ledger Walletアプリが利用できなくなった場合にも、Ledgerデバイスが正常に動き、対応する環境が残っていれば、互換性のある第三者ウォレットを利用できる場合がある。
ただし、「Ledgerが倒産しても絶対に何も困らない」という意味ではない。
公式サービスやアップデート、サポート、製品供給などがなくなれば不便になる可能性はある。
だから私は、Ledgerがなくならないことを信じて自己保管するのではなく、Ledgerがなくなっても自分で対応できる仕組みを理解したうえで使うことが大切だと思っている。
Ledgerを使っているから安心なのではない。
自分の復元情報を安全に管理し、何かあったときに自分の資産へ再びアクセスできる仕組みを理解していることに意味がある。
私は現在もLedger Nano Gen5を使い続けている。
※当サイトは暗号資産の購入を勧めるものではない。暗号資産の購入・送金・保管は、必ず自分で確認して自己責任で行ってほしい。









